登録不要のメモアプリ — そもそもなぜアカウントが必要なのか
ひと言メモしようとアプリを開いたら、最初に出てきたのが登録画面だった。そんな経験はありませんか。
メールアドレスを入れ、パスワードを考え、確認メールを開きにメールボックスへ行き、戻ってプロフィールを設定する。そこまで終わる頃には、書こうとしていた一行はもう頭の中で薄れています。
ここでひとつ考えてみる価値があります。自分のメモを保存するのに、なぜその会社のアカウントが必要なのでしょう。
先に結論を言うと、必要ありません。 この記事では、その理由と、登録不要のメモアプリがどんな仕組みで成り立つのか、そしてこの方式の限界までまとめます。
アカウントをひとつ作ると、実際に増えるもの
登録は3分で終わります。問題は3分ではなく、そのあとに付いてくるものです。
1. 管理するパスワードが1つ増えます
パスワード管理ツールを使っているなら1行増えるだけですが、そうでなければどこかで使い回したパスワードがもう1つ生まれます。メモアプリは「重要なサービス」に分類されにくいので、パスワードもゆるくなりがちです。
その中に入るのは、たいていかなり私的な内容なのに、です。
2. 文章が置かれる場所が1か所増えます
アカウントを作るということは、その会社のデータベースに自分の席ができるということです。その席に、自分の書いたものが積み上がっていきます。
管理する場所がひとつ増えます。後で「自分のメモはどこに散らばっているんだったか」と数えるとき、数える先がひとつ増えるわけです。
3. やめるときの手間が増えます
登録は3分ですが、退会は3分ではありません。 退会メニューを探し、エクスポートを押し、届いたzipが使えるか確かめ、使えなければまた別の方法を探すことになります。
これらが起きる理由はひとつです。文章が向こうにあるからです。
登録不要のメモアプリは、どうやって成り立つのか
アカウントが必要な本当の理由は、「あなたのものをうちのサーバーのどこに置くか、印を付ける必要があるから」です。つまりアカウントとは、その会社のサーバーに保存するための住所札なのです。
だとすれば答えは単純です。その会社のサーバーに保存しなければいい。
すでに持っているアカウントを使えばいい
多くの人はすでにGoogleアカウントを持っていて、そこにはGoogleドライブが付いています。保存する場所はもうあるわけです。
そうなると、アプリがやることはこれだけです。
- 自分のドライブにアクセスしてよいか、一度だけ尋ねる
- 許可されたら、ブラウザから自分のドライブに直接ファイルを書く
この構造なら、会社のサーバーに自分の席を作る必要がありません。アカウントを作る理由も消えます。
「Googleでログイン」とは少し違います
ここで誤解が生まれがちです。多くのサービスの「Googleで続行」ボタンは、登録の手間を減らすものであって、無くすものではありません。Googleで本人確認をしたあと、その会社のサーバーにはやはり自分のアカウントが作られます。 文章もそちらに保存されます。
見分け方は簡単です。
連携を切ったとき、自分の文章はどこに残っていますか? どこにも残らないなら、それはアカウントを作ったということです。
この方式の限界もあります
正直に書いておきます。アカウントが無いということは、アカウントが担っていた役割も無いということです。
- 別のクラウドを使っている方には合いません。 Googleドライブを使っていなければ、出発点そのものがありません。
- 復旧の窓口がありません。 アカウントが無いので「パスワードをお忘れですか」もありません。復旧はGoogleドライブ側(ゴミ箱、バージョン履歴)で行うことになります。
- チーム機能が弱いです。 権限管理やメンバー招待は、アカウントの仕組みがあってこそうまく働きます。共有はドライブの共有機能に頼ることになります。
まとめると、ひとりで使う個人の記録には向いていて、組織で管理する文書には向いていません。
Fenex には登録画面がありません
Fenexには会員登録の手順がありません。作らなかったのではなく、作る必要のない構造を選んだということです。
- Googleドライブを連携すれば、すぐ書き始められます。新しいパスワードはありません。
- メモは自分のドライブに
.mdファイルとして保存されます。Fenexのサーバーに複製はありません。 - やめたくなればGoogleアカウントの設定で連携を切るだけです。退会手続きはありません。 そしてファイルは自分のドライブに残ります。
登録が無いので、退会もエクスポートもありません。 最初から外に出ている状態だからです。
まとめ
| アカウントを作る方式 | 登録不要の方式 | |
|---|---|---|
| 始め方 | メール・パスワード・確認 | Google連携1回 |
| 文章の置き場所 | その会社のサーバー | 自分のGoogleドライブ |
| やめるとき | 退会+エクスポート | 連携解除、ファイルは残る |
| 向いている用途 | チーム協業、権限管理 | 個人の記録 |
メモアプリを選ぶときは、「登録が必要か」を一度尋ねてみてください。その答えが、「自分の文章がどこに保存されるか」をほぼそのまま教えてくれます。この2つは、実は同じ質問だからです。
いま確かめてみたい方は、Fenexを開いてみてください。登録画面を挟まずに、そのまま最初のメモを書けます。
あわせて読むとよい記事も置いておきます。